たまおのブログ

たまおです。

その日の天使(The Day's Angel)

このネタ個人的にもblogやら何やらでいままで何回も書いてきてるんですけど、好きなのでまた書きます。

 

今は亡き中島らもという人のエッセイの中に「その日の天使」というのがあります。

 

この人はアル中でヤク中のどうしようもない、けれど愛すべきおっさんだったのですが(いつか気持ち良く酔っ払って階段でコケて知らない間に死んでたらいいな、みたいなことを言っていたと記憶してます。そして実際その通りに亡くなりました)、とても温かくて美しい文章をたくさんたくさん残されていて、かつての私もずいぶんと彼の作品に励まされたものでした。

 

で、表題の「その日の天使」。

 

詳しくはググっていただければ収録されている本や本文が見つかるかと思うのですが、ざっくり言うとこんな感じです。

 

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死んでしまったジム・モスリンの詩にある「The day’s divinity, the day’s angel」という言葉。これを自分は「その日の神性、その日の天使」と受け止めている。

 

一人の人間の一日には必ず「その日の天使」がついていて、それは少女や子どもや生まれてすぐに死んでしまった犬や、とにかく様々な容姿を持っている。それは心も体も元気な時は目に見えない。けれど絶望な気分に陥っている時、こんなことがある。いきなり思いがけない友人から電話がかかってくる。またはふと見かけた一葉の絵に励まされることがある。それは、その日の天使なのだ。

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このエッセイのオチはある時追い詰められてどうしようもなくなった筆者が、ふと耳にしたバカバカしくも軽快な石焼きいものおっさんの歌に救われた…というものなのですが、実際こういうことってあるんですよね。私もこれまでに「もうダメかもしれん…」と思った時、見知らぬ土方のおっさん(!)に言われたひとことに救われたことがあります。本当に、天使というものはこちらの予想もつかない姿で現れるものなんだと思います。でも、必要としている時にはそれは必ずわかるもの。

 

ものを書く仕事を始めて思ったのは、自分の書くものがたった一度でもいいから「誰かの天使」になれればいいなということでした。これからまだまだたくさんの文章を、言葉を連ねていくつもりなのですが、それがどういう形のものであれ誰かの心に残るものに、誰かを救うものになれたらとてもうれしい。

 

それがいまの、たくさんある私の夢のうちのひとつです。